椛沢知世『あおむけの踊り場であおむけ』── 笹井宏之賞受賞、身体でつかむ世界の手触り

短歌というと、静かで整った詩型を思い浮かべるかもしれません。

椛沢知世『あおむけの踊り場であおむけ』は、その印象をひっくり返してくる歌集です。身体をまるごと差し出して、世界の混沌にそのまま触れにいくような歌が並びます。


この本について

著者の椛沢知世さんは1988年東京生まれ、短歌結社「塔」所属。2016年から作歌を始め、本書に収録された連作「ノウゼンカズラ」(47首)で第4回笹井宏之賞を受賞しています(第30回歌壇賞次席)。

128ページ、書肆侃侃房から2024年刊行。受賞作「ノウゼンカズラ」に始まり、最終章「暗くなる前に日が暮れるだろう」(77首)で締められる構成です。


魅力:言葉と身体で、世界の「混沌」をそのままつかむ

この歌集を貫くテーマは、世界の混沌とまっすぐ対峙すること。私と世界のあいだには言葉や目、身体といった「媒介」が必ず挟まりますが、椛沢さんの歌はその媒介ごと世界をつかみにいきます。

実際の歌からいくつか引くと、

坂に火をころがすような雷鳴が止んで

汗を引きずる声を引きずる むしめがね

雷を窓ガラスごと見てしまう四角く腕をかためた

──雷、汗、虫めがね、窓ガラス。身体感覚に根ざした具体的なモチーフが、読むたびに少しずつ違う質感で立ち上がってきます。


対象読者

  • 短歌・現代詩に興味があり、新しい歌人を探している人
  • 笹井宏之賞受賞作など、受賞歴のある若手作家の作品を読みたい人
  • 日常の身体感覚を、整えすぎない言葉で読みたい人
  • 大型書店では出会いにくい、独立系出版社(書肆侃侃房)の一冊を探している人

買うべき理由

のこのこ書店は小説・エッセイ・歌集など独立系・小規模出版社の本を中心に扱う小さな本屋です。『あおむけの踊り場であおむけ』は在庫残り1冊。次の入荷は未定のため、気になった今が手に取るタイミングです。


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