転職9回して気づいたこと──ひらいめぐみ『転職ばっかりうまくなる』
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秋になると、「このままでいいのかな」と思う人がいる。
農業をやっていると、この感覚を毎年体で感じます。夏の忙しさが一段落して、収穫の合間にふと空を見上げると──なんか、立ち止まってしまう瞬間がある。土を触っている分だけ、「自分は何のためにこれをやっているんだろう」という問いが、他の季節よりもくっきり浮かぶ。
そういう10月に、ひらいめぐみさんの『転職ばっかりうまくなる』を読んだ。
転職9回という数字
副題に「転職9回」とある。並べると、たしかにすごい。でもひらいさんはこれを「逃げた」とは書かない。
「辞めるたびに、少しずつ自分に近づいていた気がする」
この一文が刺さった。転職というのは「失敗」ではなく、自分への更新だった、という読み方。辞める理由はいつも弱くて情けなくて、でもそれでいいとひらいさんは書く。強い理由なんて、あとでいくらでも作れるから。
農業を始めたときのことを思い出した。「なぜ島根で農業を?」と聞かれても、当時はうまく答えられなかった。理由は後からついてきた。転職と農業は、意外と似ているかもしれない。
「いつでも辞めていい」が仕事を軽くする
この本を読んで変わったのは、「辞める」という選択肢を手元に置くことへの後ろめたさが消えたことだ。
ひらいさんは言う。辞めることを考えながら働いていると、「今日できることを今日やる」という感覚が生まれる。しがみつかなくていいから、仕事が軽くなる。
のこのこ書店も、農業も、「一生これをやり続けなければ」という覚悟より、「今の自分にできることをやる」という感覚で動いている。100年先のことより、今日の畑と今日の本。それだけで十分だと、読んでいて思えた。
百万年書房という出版社
この本は百万年書房から出ている。
百万年書房は、のこのこ書店が好きな出版社のひとつです。大きな声で「売れます」と言わない。でも手に取った人が、静かに誰かに薦めたくなる本を作っている。
ひらいめぐみさんも、この出版社も、「うまくいく方法」ではなく「自分のまま動き続ける方法」を書いている。そういう本を置いていたい。
のこのこ書店から一言
農業と本屋を両立しながら、「これって変な働き方だよな」と思うことが正直ある。
でも『転職ばっかりうまくなる』を読んで、そういう積み重ねが「自分」になっていくんだと少し楽になった。
秋の夜、キャリアのことが頭に浮かぶ人に、渡したい1冊です。
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ひらいめぐみ『転職ばっかりうまくなる』
百万年書房 / ¥1,760(税込)
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